実践の4 精神不安と家庭内喧嘩

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夫婦間の人間関係が健康に影響した一例である。

本症例では、夫婦が共同で商売を行っていた。夫が経営者(社長)として最終的な判断を行う立場であったが、妻は自分の意見を強く持ち、夫の判断に対して継続的に反対する状況が続いていた。

妻は自分の考えを非常に強く主張する傾向があり、朝・昼・晩と繰り返し意見を述べ、自分の意見が通らない場合には長時間にわたり主張を続けるという特徴がみられた。

このような状況が長期間続くことで、夫には精神的ストレスが蓄積し、次第に身体症状が現れるようになった。具体的には

  • 血圧の上昇
  • めまい
  • 精神的疲労

などの症状が出現した。

このような体調不良をきっかけに、夫は当院を受診した。

  • 肝気鬱結
  • そこから起こる 高血圧めまい
  • 強い主張・怒り → 肝気上逆

長期ストレス → 肝気鬱結

東洋医学的考察(夫婦関係と健康)

本症例では、夫婦間のコミュニケーションの不均衡が長期間続くことで、精神的ストレスが身体症状として現れたと考えられる。

夫は会社の経営者として、売上や経営判断に対する強い責任を負っていた。そのような状況の中で、妻が継続的に夫の判断に反対し、自身の意見を強く主張する状態が続いた。妻は自分の行動を「単に意見を述べているだけ」と認識しており、相手に対する心理的負担については十分に自覚していなかった。

一方で、夫は経営責任を負う立場であるため、心理的な圧力を強く受ける状況にあり、このような対立が長期化することで精神的ストレスが蓄積した。その結果、

  • 血圧の上昇
  • めまい
  • 精神的疲労

などの症状が出現した。

東洋医学では、強いストレスや怒り、抑圧された感情は 肝気鬱結 を引き起こすと考えられている。肝は気の流れを調整する働きを持つため、その機能が失調すると気の巡りが悪くなり、身体的・精神的な不調が現れやすくなる。

さらに、ストレスが長期間続くと、気が上方へ逆流する 肝気上逆 の状態となり、頭部の症状として

  • めまい
  • 頭重感
  • 血圧の上昇

などが現れることがある。

本症例では、夫婦間の対立がエスカレートするにつれて夫のストレスが増大し、その結果として身体症状が発生したと考えられる。また、夫婦関係の悪化が進むにつれて、妻自身にも体調不良が出現していることが確認された。

この症例は、東洋医学における 心身一如 の概念を示す例であり、人間関係による精神的ストレスが身体の不調として現れる典型的なケースといえる。

施術受けた結果と結論

この方は、結果として十数回の施術を受けました。その間に、つらかった症状は改善し、普通の生活に戻ることができました。

しかし、なるべく奥さんと長く口論することは避けるようにアドバイスしました。というのも、二人の価値観が大きく違っているため、話し合いになると奥さんも強く反論し、そのまま続くと本人の精神がまたイライラしてしまい、再び体調を崩す可能性があるからです。そうしたことを繰り返すと、自律神経のバランスも乱れてしまいます。

そのため、奥さんとはできるだけ直接的な衝突を避けるように伝えました。また、本人には自分が強いストレスを抱えていることを自覚してもらいました。治療としては、漢方も使用し、体をリラックスさせる施術も行いました。

その結果、本人は社会復帰することができました。ただし、経営面ではまだ問題が残っているようです。奥さんが強く介入することで、夫婦間の衝突が続くという状況自体は変わっていません。

現在は、奥さんと無理に言い争わず、気持ちを切り替えて別の仕事に集中するようにしています。そして、以前関わっていたお店からは離れるという形になりました。

このような状況の中で、体の状態はとりあえず回復しています。しかし、夫婦関係そのものについては、最終的に改善するかどうかは難しいと考えられます。